「分散型水素システム」社会実装研究会

本技術『分散型水素システム』について

本技術について

|課題

太陽光や風力を用いた再生可能エネルギーは不安定電源であるため、例えば多く発電できた場合でも系統電源に繋げず出力抑制せざるを得ず、折角発電した電気をロスしてしまうことになります。現状では九州地域で顕在化していますが、今後再生可能エネルギー比率が増加するにつれて全国へと広がることが予想されます。

|特徴

そこで後述する理研技術では、余剰となってしまったエネルギーを水素で貯蔵してユーザーオンデマンドで活用できるようにします。更には、独立電源として利用することで災害時の緊急電源としての利用を可能としていきます。また、本技術を用いることでフレキシビリティ、スケーラビリティが高いシステムとなるため、多様な電源/負荷に対応するべくAIによる発電、消費動向の学習によって、ロスのない分散型電源を構築していきます。加えて、本技術は無電化地域への適用において最も性能を発揮するものと考えています。

  固体高分子形水電解セル(PEEC)、固体高分子形燃料電池(PEFC)をベースとした電気化学システム

  ・常温、常圧、かつアルカリを使わないので、ON/OFF運転に適し、設置場所も選ばず、メンテも容易。
  ・電気化学プロセスは、中小型サイズでも効率低下が少ないので、単位システム(例えば5、10、50KW)を
   大量生産し、並べて設置する方式が可能(LiBと共通)。
  ・熱マネジメントとの組み合わせにより、エネルギー効率の更なる向上が可能。

 ❷ DCバスライン(基幹電力線)に発電、蓄電、電力負荷をぶら下げ、バスラインの電位の上下により、
   各部に信号伝達し運転制御する設計 (理研実験用システムでは340V±5V程度で制御)

  ・信号を電位で伝達するので、エネルギーマネジメントシステム(EMS)の使用数が最小限。
   ⇒ 簡易な構成、簡易な制御、コストダウン
  ・DCバスラインに各デバイスをぶら下げるので、拡張、縮小が容易、システム同士の結合、分離が容易。
   ⇒ 分散型システムとしてのフレキシビリティ、スケーラビリティが高く、変更対応が容易

 ❸ 二次電池(例えばLiB)と水素貯蔵を組み合わせたハイブリッド蓄エネシステム

  ・電力の高速変動に対応するMain Voltage Controller(MVC)と、低速だが低コスト且つ大容量蓄電を担う
   Sub Voltage Controller(SVC)を併用し、メリットを両立させた電源設計。
  ・MVCでは二次電池(例えばLiB)、SVCでは水電解(EC)、水素貯蔵(H2Storage)、燃料電池(FC))を活用。

 

理研分散型水素システムの基本構成

  

理研分散型水素システムのターゲット

  

実験用分散型水素システム

現在『100W』と 『2kW』の2つの「分散型水素システム」を理研和光キャンパス内に設置しています。

■ 100W小型水素システム 

  ・ガス関連装置部(500 x 400 x 420mm)
   水電解セル(EC、水供給システム含む) :100W
   燃料電池(FC、水素供給制御含む)     :100W
   水素タンク(H2Storage)     :最大0.7MPa, 4L
   ※今後、仕様変更の可能性があります。
   ※小型化、低価格化を狙うプロトタイプ装置としての機能考慮
     (特に水素貯蔵にこだわらない)

  ・制御装置部(600 x 600 x 580mm)
   ガス関連装置制御
   DC電源
   DC電子負荷
   ※太陽電池(PV)、及びDC/ACインバーターは拡張検討中

100W小型水素システム外観

■ 2kW単位水素システム 

  ・理研自立システムが狙うもの
   ⇒ Multi Input, Multi Storage, Multi Output

  ・太陽電池(PV)  :1.3kW
   水電解セル(EC)  :1.5kW
   燃料電池(FC)  :2.0kW
   水素貯蔵(H2Storage)  :2m3, <0.7MPa
   DC/ACインバーター  :0.5kW

  ・Grid連携、
   自立運転可能な自然エネルギー利用エネルギーシステム

2kW単位水素システム外観

参考文献

  • 直流バス制御システム:特願2019-555345, WO2019/103059
  • 水電気分解用積層体及びそれを用いた水電気分解装置:特願2019-013420, 特開2020-122172
  • D. Yamashita, et al., “Distributed control of a user-on-demand renewable-energy power-source system using battery and hydrogen hybrid energy-storage devices,” Int.J.HydrogenEnergy, vol.44, pp. 27542-27552, 2019.
  • 藤井 他, “ユーザー・オン・デマンド再生可能エネルギー供給システム,” クリーンエネルギー, vol.28, pp.25-33, 2019.
  • 藤井 他, “太陽電池からの高効率水素貯蔵と, 水素貯蔵を利用した小型エネルギーマネジメントの実際,” えねるみくす, vol.98(3),pp.240-247, 2019.
  • 小川 他, “太陽光を利用した植物工場の低コスト化,” J.JSES, vol.45(4), pp.10-15, 2019.
  • 小池 他, “ユーザーオンデマンドを実現する自律型再生可能エネルギーシステム” ケミカルエンジニヤリング, pp.811-816, 2019.
  • 藤井 他, “ユーザーオンデマンド再生可能エネルギー供給システム,” 化学工業, vol.71, pp.606-612, 2020.
  • 藤井 他, “再生可能エネルギーを利用したエネルギー供給システムの制御方法,” クリーンテクノロジー, vol.30, pp.41-46, 2020.
  • 藤井 他, “自然エネルギー源を利用した水素貯蔵小型エネルギーシステムの簡易的な地域最適化指針,” J.Jpn.Inst.Energy,vol.100(6), pp.45-54, 2021.

   

本技術に関するお問い合わせ

株式会社理研鼎業(りけんていぎょう) 
共同研究促進部 「分散型水素システム」社会実装研究会 事務局
 Email  suisobunsan@innovation-riken.jp

 


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