研究テーマ一覧  ― List of exhibits ―

理化学研究所で進められている社会実装に向けた研究テーマをご紹介します。


『メタサーフェス』レンズからバイオセンサーまで
“Metasurface” lens and biosensors
開拓研究本部 田中メタマテリアル研究室 田中 拓男(主任研究員)
Takuo Tanaka, Chief Scientist
Metamaterials Laboratory, RIKEN Cluster for Pioneering Research

【概要】メタサーフェスは、ナノメートル~数マイクロメートル程度の厚みしかないため、極薄・極軽量のレンズ(=メタレンズ)を可能とします。また、メタサーフェスで光の吸収を制御すれば極薄・極軽量の発色体(=メタ発色体)を作製できます。この発色体はウイルス感染などを色の変化として検出するバイオセンサーにも応用が可能です。


AI で深まる能動的音楽体験アプリ公開
AI-based app launched for proactive music experience
革新知能統合研究センター 音楽情報知能チーム 浜中 雅俊(チームリーダー)
Masatoshi Hamanaka, Team Leader
Music Information Intelligence Team, RIKEN Center for Advanced Intelligence Project (AIP)

【概要】スマートフォンやタブレットの普及により以前より簡単に音楽鑑賞ができるようになっています。それらはアーティストやエンジニアによって注意深く作られたものです。一方、音楽情報知能チームでは、5G による通信データの増大やAI の発展によってもたらされる、ユーザごとに異なる音楽鑑賞を提供する可能性を探求しています。

動画①MelodySlotMachineHD/スロットの目でメロディの組み合わせを生成
動画②SoundScopePad/AI認識を用いたVRコンサート体験
動画③Wild Birds/野鳥の声の聴き分け体験


AI ・陸域観測が切り拓くドローンハイウェイ構想
Drone highway concept based on land observation with AI
革新知能統合研究センター 音楽情報知能チーム 浜中 雅俊(チームリーダー)
Masatoshi Hamanaka, Team Leader
Music Information Intelligence Team, RIKEN Center for Advanced Intelligence Project (AIP)

【概要】すべてのドローンが飛行するハイウェイ網を構築し,衝突防止とエネルギー効率改善を実現します。また、エネルギー効率が高いティルトウィング型ドローンに着目し開発中のJAXA と共同研究しています。陸域観測衛星からの3D 地形図とドローン搭載ライダーからの地表面形状をAI で処理することで非GPS での位置推定を可能にしました。


乳児の泣きやみ・寝かしつけを最適化するソフトウェアの動作原理
Software that stops infants from crying and helps them fall asleep
脳神経科学研究センター 親和性社会行動研究チーム 黒田 公美(チームリーダー)
Laboratory for Affiliative Social Behavior, RIKEN Center for Brain Science (CBS)

【概要】乳児に心拍(脈波)を検出するデバイスを装着し記録・解析することによって、リアルタイムで心拍間隔から乳児状態を予測します。予測される乳児状態に応じて、適切な条件の時に育児者に抱っこして歩く・座る・ふとんに置くといった育児行動を音声等で促し、赤ちゃんの泣きやみ・寝かしつけをサポートします。


電子挙動の直接観察に基づく回転する線状波モデルによる電子の干渉・回折現象の解析
Analysis of electron interference and diffraction phenomena using a spinning linear wave model based on direct observation of electrons
創発物性科学研究センター 創発現象観測技術研究チーム 進藤 大輔(チームリーダー)
Daisuke Shindo, Team Leader
Emergent Phenomena Observation Technology Research Team, RIKEN Center for Emergent Matter Science (CEMS)

【概要】最近、私達は、電子線ホログラフィーを駆使して電子挙動を直接観察することに成功しています。この観察結果と相対性理論との整合性を考慮し、電子を回転する線状波として取り扱うことによって、一個一個の電子の干渉・回折現象に及ぼす寄与を数式化し、シミュレーションを通して、量子現象に関わる実験データの定量解析を実現しています。


理研 量子コンピュータ研究センター(RQC)
RIKEN Center for Quantum Computing (RQC)
量子コンピュータ研究センター
RIKEN Center for Quantum Computing

【概要】量子力学の原理に基づく革新的な情報処理技術としての量子コンピュータの実現を目指し、ハードウェアからソフトウェアまで、また基礎科学から応用まで一貫した研究開発に取り組みます。


あらゆる“画像“の研究開発エキスパート集団
R&D experts develop all types of images
光量子工学研究センター 画像情報処理研究チーム 横田 秀夫(チームリーダー)
Hideo Yokota, Team Leader
Image Processing Research Team, RIKEN Center for Advanced Photonics (RAP)

【概要】“画像” の処理・認識・解析・転送といった近年のICT には欠かせない“画像” を対象とした多様な研究開発をおこなっています。2次元の画像に留まらず、時空間に跨る4次元画像、さらにスペクトル分解データなどの高次元な画像も研究対象としています。特に、avatarin 株式会社(ANA グループ)と共に、人間の認識に基づいた新しい画像処理・転送システムの研究開発に取り組んでいます。


1.3W高出力THz量子カスケードレーザーを実現
1.3W high-power THz quantum cascade laser
光量子工学研究センター  テラヘルツ量子素子研究チーム 平山 秀樹(チームリーダー)
Hideki Hirayama, Team Leader
Terahertz Quantum Device Research Team, RIKEN Center for Advanced Photonics (RAP)

【概要】レーザーの導波路構造は上下の両面金属構造( 図1 左下)、又は上面の金属と下面の半導体高濃度
ドーピング層( 片面金属構造) による電界閉じ込めにより実現され、レーザーミラーは劈開によ
り形成します。THz-QCL 素子は動作中に加熱するためヒートシンクに接着させ動作させます( 図
1 右下)。本研究では量子カスケード活性層に高濃度ドーピング層を導入するとともに電子リーク
低減のためバリア層の高さを調節することで高出力化を試みました。


都市型DAC-Uシステム「ビルはまちの空気清浄器」
Urban direct air caputure and carbon utilization system: buildings used as air purifiers
光量子工学研究センター 光量子制御技術開発チーム 和田 智之(TL)・藤井 克司(研究員)
Satoshi Wada, Team Leader, Katsushi Fujii, Research Scientist
Photonics Control Technology Team, RIKEN Center for Advanced Photonics (RAP)

【概要】本PJ は、電気化学技術を主体として、分散配置が可能なCO₂回収・有用化学原料への還元資源化プロセスの開発を目指します。具体的には、大気中に放散された希薄なCO₂および放散される前のCO₂を回収し、再生可能エネルギーを駆動力として電気化学的に富化/ 還元、有用化学原料を生成するまでの統合システムを開発することで、カーボンリサイクルの基盤を構築します。


分散型水素システムー余剰エネルギーを水素で貯蔵しユーザーオンデマンドで活用―
Storing excess energy with hydrogen and on-demand utilization
光量子工学研究センター 光量子制御技術開発チーム 和田 智之(TL)・藤井 克司(研究員)
Satoshi Wada, Team Leader, Katsushi Fujii, Research Scientist
Photonics Control Technology Team, RIKEN Center for Advanced Photonics (RAP)

【概要】余剰エネルギーを水素で貯蔵してユーザーオンデマンドで活用するため、独立電源とすることで災害時の緊急利用も可能としていきます。また、フレキシビリティ、スケーラビリティが高いうえ、更にAI による発電、消費動向の学習によって多様な電源/ 負荷に対応することで、ロスのない分散型電源を構築していきます。本技術は無電化地域への適用において最も性能を発揮するものと考えています。


壊さずに内部を可視化評価!― 中性子計測―
Neutron measurement for non-distructive scanning
光量子工学研究センター 中性子ビーム技術開発チーム 大竹 淑恵(チームリーダー)
Yoshie Otake, Team Leader
Neutron Beam Technology Team, RIKEN Center for Advanced Photonics (RAP)

【概要】沿岸や山間部の橋梁などで深刻化している塩害は、落橋などの重大事故につながる恐れがあります。構造物の劣化診断による予防保全が実現すれば、このような事故を未然に防ぎ、橋梁の長寿命化やメンテナンスコストの削減にもつながります。予防保全の実現に向けては、非破壊による塩分濃度計測が強く望まれています。


量子化学ソフトウェアNTChem の紹介
“NTChem,” quantum chemistry software
計算科学研究センター 量子系分子科学研究チーム 中嶋 隆人(チームリーダー)
Takahito Nakajima, Team Leader
Computational Molecular Science Research Team, RIKEN Center for Computational Science (R-CCS)

【概要】NTChem では他の量子化学ソフトの持つ多くの機能をカバーしながら、大規模で複雑な分子に対して高精度な量子化学シミュレーションを実現する独自の機能が利用できます。「富岳」のような高並列な計算機環境を有効に活用できるように設計されていますので、大規模分子の丸ごと計算や多数の分子に対する同時計算を効率良く行うことが可能です。


RIKEN 量子コンピュータ
Quantum Computing
量子コンピュータ研究センター
RIKEN Center for Quantum Computing (RQC)

スーパーコンピュータ「富岳」
Supercomputer “Fugaku”
計算科学研究センター
RIKEN Center for Computational Science (R-CCS)